場面緘黙に関する本⑤ 『学校における場面緘黙への対応』

日本語教師の吉田美登利です。

 

いつも本を読むときには同じ著者や、同じトピックに関するものを

まとめて10冊程読みます。

そうすると、少しは理解が深まる気がします。

 

色々と紹介したい本はあるのですが、

せっかくなので、あまりほかの人が紹介しない

本を紹介していきたいと思います。

 

場面緘黙の本、5冊目

『合理的配慮から支援計画作成まで

―学校における場面緘黙への対応』

昨年(2017年3月)に刊行された新しい本です。

 

学校における場面緘黙への対応:合理的配慮から支援計画作成まで

学校における場面緘黙への対応:合理的配慮から支援計画作成まで

 

 

一般の教員向けの本ですが、

言語発達やシャイネス、吃音などの

先行研究、論文が引用されており、

読みやすいながらも、比較的学術論文に

近い形の本だと思います。

 

p.17

場面緘黙を「本来の力を発揮することの抑制」として捉えれば、

介入のゴールは話せるようになることではなく

「本来の力が発揮できるようになること」である。

 

p.23

場面緘黙はそれ自体が不安障害の一つ分類させているが、

そのほかに様々な不安障害を伴っているケースがある。

(中略)

社交不安障害は特に場面緘黙との関連が強いことが

海外の研究で指摘されている。

 

 

p.27-28

場面緘黙児の多くには、不安や恐怖だけでなく言語障害

ことばの問題がかかわっている。海外の研究では

場面緘黙児の半数程度にことばや発達の遅れや言語障害

があることが報告されている。

「あまり堪能ではない外国語で会話するようなもの」

 

p.45

場面緘黙は「障害」に該当するから、

(学校生活において)合理的配慮の対象となる。

 

p.51

教師によっては怒鳴ったり威嚇したりすることがある。

場面緘黙児は自分自身に言われたことでなくても誰かがそのような

形で注意を受けていると恐怖を感じることが多い。

(中略)

クラス全体に聞こえうように大きな声を出すのは良いが、

怖がらせる必要はない。不適切な行動を注意したり指導をしたりするのも、

怒鳴らないで行うほうが効果的である。

 

p.76~84

評価や成績は合理的配慮が必要。

(書くことや、家での録音・録画で代替するなど)

 

メッセージとしての評価であれば、それは児童・生徒の今後の

学びに資するものでなければならない。場面緘黙児が他の児童と

同じように歌が歌えなかったとしても、それは当たり前のことである。

「歌が歌えなかったから音楽の成績は評価できません」という対応は

子どもや保護者を傷つけるだけであり、教育的な価値はない。

通知表への記載は、代替的な内容での評価を保障したうえで、

学習への動機づけを図るものでなければならない(p.83)。

 

 

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学校における合理的配慮の必要性ですが、

私の担当する大学のクラスでも、登校できない

(障害を持っている)学生の評価をどうするか、など

簡単に解決できない問題があります。

この本のように、代替案や、具体的な支援策が

書いてあると大変参考になります。

 

刊行がされて間もない本なので、最新の様々な研究成果と支援策を

手軽に知ることができる本だと思います。