JSL漢字学習研究会 2016年2月20日

 

日本語教師の吉田美登利です。

2月に参加した漢字学習研究会のメモを下にまとめたいと思います。

3人の方のご発表がありました。

 

①徳弘康代先生

・日本語の2拍の漢字音の2拍目は「ン、ウ、イ、チ、ツ、キ、ク」の7種類。

 「ン」は撥音、「ウ」は調音である。「イ」は長音と二重母音、「チツキク」は促音となる可能性がある。(「本」の読み方「いっぽん、にほん、さんぼん」のルールについて教えるときに導入できる。)

 

・中国人は一つの漢字を1モーラで発音しやすい。→日本語の漢字は1拍か2拍だということを伝える。(初級のうちに徹底的に習得させる)

 

・日本語の3分の1が同音語。(→吉田の経験だと、同音語の単語が少ない中国語の漢字の方が、音→文字の記憶を呼び出しやすいです。つまり日本語の漢字の書き取りほうが、中国語より難しいイメージ)

 

パクソンジュ先生

・韓国語の漢字検定は初級は選択式、上級は書き問題。(吉田注:日本語の漢字検定は最下位級から書き、筆順もあり)

・韓国語は、漢字能力=国語(韓国語)能力である。

・韓国人日本語学習者の日本語漢字を学習は、形より発音を集中的に提示したほうがいい。(長音が苦手なため)

・大学受験のための勉強をしっかりした韓国人は(韓国人の中で)比較的漢字ができるほうだといえるだろう。

 

原宏之先生

・「木」2画目を「はねる」「はねない」教え方について2種類の先生がいる。

 「女」2画目が3画目の上に出るか出ないか、についても同様。

 →「女」について年代別に違いを調査 50歳代が分岐点で、若い人は「出ない」人 

      が多い。 ※この2字については実際はどちらもOK

 

・書くたびに変わり、意味の識別に関係ないもの「字形」、

 もやもやとした共通イメージ 骨組み。概念「字体」

 ※一つの事態における字形の揺れは、標準と許容ではなく互いに同値とする。

 混同されない限り、楷書体の字形は揺れを持っていてよい(※例「保」の右下が「木」でも「ホ」でもよい。「干」「于」は違う字(字差特徴あり)なので

 かならず区別)

 

→字体のバリエーションを両方覚えないといけないと初期の学習においては記憶への負担増。漢字嫌いが増える一因となる恐れ。↔どれでもいいと書きやすくなり、漢字嫌いが減るか。

 

→留学生には片方の書き方で教えるが、テストでもう片方を書いてもバツにしないなど教授法の工夫が必要か。

 

・どこまでが許容で誤用か?→心理学的には、好み=なじみ。人間は見慣れた漢字が好き。

 

・中国人学生の書く「春」は3本目の横棒のあたりから5画目が出ていることが多い。(日本人は2本目から書く)。韓国人は「全」の初めの2画が「入」みたいに書く人が多い。(フロアの人々はそうそうと大きくうなずいていました。微妙な違いに日本人教師は気になるが…)

 

・中国では、正しい書き順を国で決めている。日本では指導要領に「筆順は世の中の習慣で教えること」とある。

 

日本語学習者にどこまで求めるのか、日本人と同じものを目指すべきか否かは、日本語教師が提案してもよいだろう。

 

以上です。とても勉強になりました。