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ブックレビュー 『犬に本を読んであげたことある?』

本のレビュー

 

日本語教師の吉田美登利です。

 

図書館の子どもの本のフロアで借りた次の本を、今日は紹介したいと思います。

今西乃子(2006)『犬に本を読んであげたことある?』講談社

 

犬に本を読んであげたことある?

犬に本を読んであげたことある?

 

 

アメリカの読書介助犬について、著者が取材して物語として書かれた本。

(英語の訳本かとはじめは思いましたが、違いました。)

この活動を始めたサンディさんは、本業が看護師で、もともと病院を回ったアニマルセラビーをしていたのですが、ひょんな事がきっかけで読書介助犬という活動を思いつきます。

 

子どもが犬に本を読んであげる、というセラピープログラムを受けることにより、

音読(読解)が苦手な子どもの成績が飛躍的に伸び(英語だけではなく他の教科も)、

生活態度が改善され、性格まで落ち着くといったもの。

 

訓練を受けた読書介助犬(Reading Education Assistance Dog)は、

読むのが苦手な子どもにじっと耳を傾けてくれる。そのおかげで

どんどん読み進めたくなるし、また次回も介助犬に会いに来たくなる、

といったもの。

 

本では「読書介助犬の効果」について「犬」に焦点があてられていましたが、

介助犬を連れている(リードを持っている)ボランティアの方が、

子どもの音読のサポート(単語の読み方を教えてあげるなど)、

プログラムの雰囲気づくり、絵本を選ぶアドバイス、生活面へのアドバイス

などをしており、活動の成否を握っていることが分かります。

犬との関わりがきっかけとなり、結果的には人との関わりで成長しているように私には読めました。

 

サンディさんは活動を図書館から始めて、小学校にも行くようになります。

「落ちこぼれ小学校の中の、選り抜きの落ちこぼれと言われた子どもたちp.184」

がこのプログラムを通して成績が上がり、3人に1人が学校で表彰されるまでになります。

 

この子供たちのお父さんは刑務所にいたり、家庭でDVがあったり、夜逃げのように突然引っ越さざるを得なかったり… 学校の先生や介助犬ボランティアの人たちが時折感じるやるせなさが、読んでいて身に染みました。

 

難しい漢字には振り仮名が振られているので小学高学年以上向けのようですが、大人にとっても読みごたえがある本でした。

読解や言葉の教育に興味がある方にお勧めです。