論文のレビュー「日本生まれ・育ちのJSLの子どもの日本語力」

日本語教師の吉田美登利です。

 

日本語教育』の最新号で興味深かった論考を紹介します。

 

西川朋美・青木由香・細野尚子・樋口万喜子(2015)「日本生まれ・育ちのJSLの子どもの日本語力」『日本語教育』160号

 

これは、国際結婚、外国人の定住化などによる日本生まれのバイリンガルの子どもの日本語(和語動詞の産出)についての研究です。「表面的には他の日本語が母語の子どもたちと変わらない日本語能力を持っているように‘‘見える’’ことが多く、一般的には日本語指導の対象として考えらえることがほとんどない(p.64)」子供たちです。

 

「調査対象とする動詞は日本語モノリンガルが母語習得過程で自然に身につけると考えられる31語である(p64)」→おちる、きる、しめる、たつ、あげる、など。

「モノリンガルの子どもであれば誰でも知っている、使えると思われる‘‘簡単な’’語p.65」が選ばれています。

 

「分散分析の結果、全ての学年においてJSL(日本語を第二言語言語とする日本で〈生まれ〉育った子ども)とモノリンガル(日本語を母語とする子ども)の得点には有意差があり、効果量も大きいことが分かった。p.64」

 

「一部の『できない子』は、JSLとモノリンガルのどちらにも存在するが、最下位層と位置付けられた子供の割合は、JSLとモノリンガルでは5~10倍の違いがみられた。p.64」

 

結果は次のように分析されています。

JSLでは学校場面で用いられることの少ない動詞・用法の産出が弱く、動詞の意味範囲を間違って適用したケースや母語の影響と考えられる誤用も目立った。

p.64」 

 

これは、学校の先生や社会全体が知るべき課題だと思いました。